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ルポ香川:瀬戸大橋20年 通行料ネック、介護置き去り /香川 ◇橋脚の島で進む高齢化と人口減 今月10日に開通20周年を迎えた瀬戸大橋。橋脚の島は陸続きで便利になったはずだが、橋の通行料がネックとなり、満足な介護サービスが受けられない。高齢化と人口減が進む中、「いつかはこの島を離れなければならない」と島民たちは不安を抱えている。福祉の向上を望む人々が暮らす橋脚の島・与島を歩いた。【矢島弓枝】 ◇与島はいつか、からっぽになる ◇坂出北ICから10分、でも簡単には渡れない 瀬戸大橋のほぼ中央に浮かぶ与島(坂出市)。面積約1・1平方キロに、140人(小与島を含む)が暮らす。橋が開通した88年は584人。20年で人口は約4分の1になった。 約50年前から与島に住む浅野恵子(しげこ)さん(70)は週2回以上、夫の知也さん(76)が入る坂出市内の介護老人保健施設に通う。 知也さんは昨年5月に脳出血で倒れた。約4カ月の入院の後、恵子さんは島で介護をするつもりだった。しかし高額な通行料のため、ケアマネジャーには島外施設への入所を勧められた。 与島からの瀬戸大橋の通行料は、坂出北IC(坂出市)まで片道1900円、児島IC(岡山県)まで同1600円。島民の車両は、県や市の補助制度により一般料金の37・5%だが、島民が利用する介護タクシーなどの民間業者には適用されない。島には介護保険事業者はなく、島外に頼るしかない。 知也さんが島に帰ってきたのは、この1年で1度だけ。「やっぱり島はいい」と話し、島民との再会を涙を流して喜んだという。「正月に家族が帰る時も、島民料金にはならない。病気になったら、子どもを頼って島を出るしかない」と恵子さんは嘆く。 島には空き家が目立つ。与島連合自治会長の住谷一弘さん(63)によると、ある90代の夫婦は橋の交通費を支払いながらデイサービスを利用し島に住んでいたが、1年ほど前に通行料などを負担に感じて坂出市内の施設に入所した。別の80代の男性は、半年ほど前に足の骨折をきっかけに治療の受けやすい大阪府内の娘宅へ引っ越した。島に住む数少ない若者の尾崎智章さん(26)も「生まれ育った島で暮らしたいが、不安は尽きない」とこぼす。 島を歩くと、空き家の多さに驚く。住谷さんは「ここも、あそこも」と指を差し「いつか島はからっぽになるで」と言った。与島の町は、細い坂道に立派な石垣の民家が並ぶ風情ある町並みだ。坂出北ICからわずか10分とは思えないのどかな場所。坂出市中心部までこんなにも近いのに、見上げれば橋があるのに、「簡単には渡れない」のが瀬戸大橋。 住谷さんは「橋が出来て、救急車が来るようになった。し尿処理車も、ゴミ収集車も来るようになった。でも福祉はまだ来ない」と力なく話す。 毎日新聞 朝刊 地域のニュース 四国 香川 2008年04月16日 01:51:00 無断転載禁止 |
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